お取引していたお客様からマスクのご依頼がありました。当時私たちはマスクの⾃社開発を⾏っておらず、ご依頼の内容も、在庫を持っているサプライヤーを探し、仕入れ、納品してほしいというものでした。ところが、日本のマスク市場の90%以上を占める中国製製品の在庫が、新型インフルエンザの世界的流⾏により⼀気に消えていました。
パンデミックが終息を迎えると、⼀時的に中国でマスクが在庫過多になり、中国製のマスクを供給できるようになりました。しかし、中国サプライヤーのみに依存してしまうと、再度パンデミックが発生したときに、対応できません。また、当時は、反日デモ運動なども起きていました。⼀国依存の状況を打破し、継続してお客様に商品を供給できる体制を構築する――私たちは、あくまで、それをゴールと定めました。
私たちは、方針を固め、伊藤忠のグローバルネットワークを活かし、各国のサプライヤー発掘に当たりました。
数ヶ月後、もともと医療系の資材を使い、質の高いマスクを製造しているタイのサプライヤーとの交渉を始めました。何度もやり取りを重ねることで、更なる品質向上と製造効率化を実現。そのうえで、ネーミングに「プレミアム」と入れることで、消費者にその品質を訴求することにしました。
発売後、売上は好調に推移し、お客様からも好評をいただきました。
消費者にとっても中国製以外の選択肢ができたことはメリットが大きかったようです。私たちも、商品バリエーションが増えることで提案の幅も広がりました。複数の商品を混載させることで、物流効率も向上しています。